ぼくを葬る

こちらは、ガンで孤独に死んでゆくひとりの美しいフランス人カメラマンの話。
実は「8人の女たち」を観たときに、鳥肌がたつほど引いてしまった、オゾン監督。
猫の背中の毛を、逆さになでていくような、そんないやあ~な感覚。
私の感性にはどこにもヒットしないので、いごこちが悪いのなんのって・・・。
そんなわけで、オゾン作品はずっと避けていた。

しかし、今回はメルヴィル・プポーという、超美形俳優につられて、観てみた。
もしかして、オゾンを克服できるかもしれないし・・・。
結論。メルヴィル・プポーは素晴しい。
美しすぎるだけではなく、やつれて、ひたすら孤独になってゆく男を、本当に繊細な感性で演じていて、絶望感がとてもよく表現されていた。
結構、いい作品だと思った。
ふつうはこういった病気とか死がテーマの作品は、「泣き」が入るものだが、この作品ではそれがない。
淡々と、じわじわと、苦しむのである。
なかなか、いいところを狙ってくるなあと思った。

今後もオゾンは、死をテーマにした作品を手がけるということで、次回もまた観てみようと思った。
普段、絶望という言葉から、大抵の人は目をそむけるものだ。
目をそむけて、見ないようにすることで、自分には関係ないと思いたいのだろう。
しかし、絶望からこそ、真の希望を見出すことができるのである。

どちらにしても、「死に方」=「生き方」なのである。

う~~ん。知的好奇心を刺激されないと、ストレスだ。

ぼくを葬る [DVD]
メルヴィル・プポー (出演),‎ ジャンヌ・モロー (出演),‎ フランソワ・オゾン (監督)