ホール・オペラ:ドン・ジョヴァンニ

2020年9月12日

サントリーホールにて、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞。

実は今回の「ドン・ジョヴァンニ」、あまりにも素晴らしくて気に入ってしまい、2回行ってしまいました。
1回目のときに、1幕終了後にすぐ窓口に飛んで行って追加のチケットを購入してしまったんです。

大好きなドン・ジョヴァンニをこんなにも素敵なキャストと演出と衣装と美術と指揮と音で観れて、嬉しくってたまりませんでした。

サントリーホールでオペラを観るのが初めてだったので、いったいどんなセットを作るのだろう?と気になっていました。
上演前に席について舞台のセッティングを前にして、びっくり!そして感激。
かなり早く席についたので、オケの練習を聴きながらワクワクしていました。

舞台の中央にオーケストラが配置、そしてさらにその中央には指揮者。
そのオーケストラを囲むようにぐるりと舞台セットが作ってあるのです。
客席はさらにその舞台の周囲を囲む形になっているので、舞台脇と後方の席に座ると、まるで舞台裏から覗いているような雰囲気になります。

私は1回目には舞台脇の席をとったため、本当に臨場感があって、ものすごく真近にオケやキャストを観ることができて楽しかったです。
2回目のときは、正面から全体を観る席を確保。これもまた素晴らしく良かった。
というかもうどこからどのように見ても楽しめるんですね。

それと、指揮者が後ろ向きではなく、客席のほうを向いているのもかなり面白かった。指揮のニコラ・ルイゾッティが実に明るくて表情豊かな人なので、指揮を見てるだけでもそうとう楽しいです(笑)。
ルイゾッティは指揮をしながら鍵盤楽器を弾いていました。
普通はチェンバロだと思っていたのですが、音がなんだか違うな?とあとで調べたら、どうやらフォルテピアノだったようです。
フォルテピアノは、チェンバロとモダンピアノの中間っぽい音がしますね。
モダンすぎもしないし、かといって古楽器独特のバリバリに古風な感じでもなく、良い音の選択だなと思いました。

ルイゾッティのモーツアルトはとても良かった~!
生き生きとしていて、曲はいかにもモーツアルト!
でも、味付けはもう完璧にイタリアン!

舞台のあちらこちらと動き回る演出、最高~に楽しくてオシャレで素敵な舞台でした!
そしてキャストの演技力と瑞々しい歌声。
特にドン・ジョヴァンニ役のマルクス・ヴェルバがそれはそれは美形で麗しくて、惚れぼれでした。
黒い帽子に黒い革のロングコート、首には紫のストール、騎士風な黒のブーツはひざ上まであって、スリムな黒のパンツに、ベスト、そして白いシャツはみぞおちまであいていて胸を見せて、銀のペンダント。
少しウエーブがかかった長い髪は後ろでたばねて黒いリボン。
なんともたまらない色男っぷりです。
美しいお顔には髭をはやして、登場したときはいかにも詐欺師風なオレンジ色のレンズのサングラス。
(上の画像の人は同じヴェルバですが衣裳が違っています)
もー、なんだかんだ口説く前に、目と目があった瞬間に恋に落ちるだろうな~と、そういう意味でやたら説得力にあふれるドン・ジョヴァンニ様でした。
本当に麗しいお方でした~!!!

レポレッロ役のマルコ・ヴィンコはバッチリはまってて、こちらも最高に楽しませてくれました。
表現力がすごく上手というか、レポレッロになりきっていて、それにエレガントな魅力で彼が歌い出すと、すっかり引き込まれてしまう力がありました。
また、歌っていない時でも脇で何か演技していて存在感があって本当に楽しさいぱい、しかもハンサムで素敵な可愛い召使いでした。

ツェルリーナの小悪魔っぷりも最高に可愛かった。
エロティックで、浮気されて怒っていたはずのマゼットはメロメロに骨抜きになっていましたね~凄い☆
彼女のパンクっぽい衣装もとびきりオシャレで、真似したくなりましたね~。
ダヴィニア・ロドリゲスの高音、不思議な魅力のあるソプラノでした。耳に残る声。

騎士長殿も紳士で貫禄があって、迫力でした~。
なんとなくセオデン王を思わせる白髪と白ヒゲで渋くてカッコイイのです。
石像役も、今まで観たなかで一番良かった。
終盤の低音三重唱、最高!!でした。
ドンナ・エルヴィーラ役の増田朋子さんのソプラノ、しっとりしてて大人のエルヴィーラの雰囲気がよく出てて素敵でした。

1幕の冒頭で、「人に仕えるのはまっぴらだ」とぼやいていたレポレッロが、最後は主人がいなくなり、ひとりぼっちでさみしそうに肩を落として去っていく様子が心に残りました。
いい演出でした~!演技も良かった!
やはり私としても、ドン・ジョヴァンニとレポレッロの主従関係が大好きなところなんですよね。

カーテンコールでは、皆さん本当に明るくてお茶目!
イタリアっぽくてテンション高い!

「ドン・ジョヴァンニ」観れば観るほどにモーツアルトの曲とポンテの脚本の素晴らしさに魅了されてしまいます。
様々な解釈にふれることで、作品のあらゆる面を深く知ることができて、オペラって本当に面白い。

そしてホール・オペラ、ルイゾッティの指揮とラヴィアの演出の大胆さと趣味の良さ、とても気に入りました!
次回もきっと行ってしまいます。